先日(2021年)に約30年勤めた会社を退職をしました。
退職後に行う手続きはいくつかありますが、社会保険(国民年金・国民健康保険・雇用保険)については、一見別々と思われる手続きも条件によっては順序があるものもあります。
今回は退職後の社会保険の各種手続きをスムーズに後戻りなく行えるよう、それぞれの順番について整理してみましたので紹介しておきます。
あくまで以下私の退職でのケースです。
- 退職後、すぐに転職せず雇用保険の失業手当(基本手当)を受給する予定
- 国民年金・国民健康保険の免除制度の利用を検討している
- 節税対策としてイデコ(iDeCo)で拠出・運用を行いたいと思っている
- 家族がいても扶養者がいない
目次
ハローワークで雇用保険の基本手当(失業手当)受給申し込み
会社から離職票が届きましたらまず最初にハローワークに行って雇用保険の基本手当の申請をします。
ここで注意が必要なのは離職票です。
退職後、会社から送られてくる離職票を原本でハローワークに提出するのですが、次に申請します国民年金と国民健康保険への切り替えでも証明書類として離職票(写し可)が必要ですので必ず事前にコピーを取っておきます。
※私が住む自治体では離職票以外に雇用保険被保険者証でも代用可能ですが、離職票のコピーを取っておくほうがよいでしょう。
国民年金と国民健康保険への変更申請
次に住んでいる市区町村の役場で国民健康保険と国民年金への変更申請を行います。
国民健康保険の手続き
殆どの方は勤めていた会社の任意継続を選択すると思います。
しかし、リストラにあったなど会社都合で退職した特定受給資格者か、自己都合退職であったとしても特定理由離職者なら減額した年収をもとに保険料を計算してくれますので、保険料を任意継続より少なくすることができる可能性があります。
上記、受給資格について判断するのはハローワークですので、国民健康保険の減免制度が適用されるのでは?・利用を検討したいと思っている方は先ずはハローワークで申請を行うようにしてください。
ハローワークの方の説明によると、会社都合で移動になって通勤時間が長くなり体調が悪くなったり、退職前の月当たりの残業時間が一定数以上が続いていたりした場合、自己都合退職であっても特定理由退職者となり国民健康保険料が収入の1/3で計算されたりするようですので、健康保険料が任意継続より安くなる可能性があります(※)。
※あくまで扶養者がいないケースです。任意継続の場合は扶養者がいても保険料は一律なのに対して、国民健康保険は本人+扶養家族分の健康保険料がそれぞれ必要になりますので、収入が1/3になっても任意継続の保険料より高くなる可能性もあります。
因みに私は自己都合での退職ですが、長年の長距離通勤による腰痛があったので、このことを面談で訴えましたがダメでした(腰痛と長距離通勤の因果関係を医師が証明してくれればOKとのことでした)。
よって、国民健康保険料より若干安い任意継続を選択しました(私が勤めていた会社の任意継続の保険料は結構高いです)。
国民年金への変更手続き
次に年金です。
会社員は、第2号被保険者として厚生年金に加入していますが、退職してすぐ働かない場合は第1号被保険者として国民年金に加入することになりますので変更の手続きが必要です。
手続きは上で紹介しました健康保険手続きの時に一緒にすることができ、保険料は月額16610円(2021年)で退職した月分から支払います(但し、月の末日退職の場合は次の月分からの支払い)。
退職月にも給与から厚生年金の保険料がひかれますのでダブりの納付なのではと思いますが、厚生年金は先月分の保険料になるのだそうです。
国民年金は退職した場合、収入がゼロになりますので減免制度もありますが、配偶者や家族の収入次第で免除額が4段階(全額・3/4・半額・1/4)で決まってきます。
私は全額免除は厳しそうでしたので、その他事情から免除申請はしませんでした。
その他事情とは、下で紹介しますイデコ(iCeCo)と関係しますのでそこで紹介します。
企業型確定拠出年金をイデコ(iDeCo)に移換
最後は、国民年金と関係があるイデコ(iDeCo)への移換についてです。
私が働いていた会社では、企業型の確定拠出年金(企業型DC)に加入していました。
会社の確定拠出年金(企業型DC)は退職日の翌日に資格がなくなります。
60歳未満での退職の場合、そのままタイムラグなしで別会社に転職し、その会社に企業型DC制度があればそこに移換できますが、それ以外だと個人型の確定拠出年金イデコ(iDeCo)への移換になります。
因みに退職後、6か月以内に上記移換手続きをしなければ、自動的に国民年金基金連合会なるところに自動移換されて、運用ができないまま毎年手数料だけ取られることになります。
私の場合もしばらく働きませんので、イデコへの移換になり、自分でも拠出をしながら運用する予定です。
このイデコは確定申告の時、拠出金が丸々所得控除されますので、所得税・住民税をかなり節税することができます。
但し、国民年金で免除対象になると、イデコの拠出ができなくなりますので、中途半端な保険料減額なら丸々国民年金の保険料を払って、イデコに拠出した方がお得かもしれません。私が年金の免除申請をしなかったのはこのためです。
しかし、投資ですから元本割れのリスク(※)と、60歳までは途中解約はできませんので、この点については注意が必要です。
※イデコには元本確保型の商品(定期・保険商品など)もありますが、毎年手数料がひかれますので全額を元本確保型商品への拠出だと手数料×年数分の元本割れになります
イデコでの節税額と国民年金の免除制度の比較検討した結果を以下の記事で紹介していますのでよろしかったらどうぞ。
こちらもどうぞ
それぞれの手続きに微妙に関係性がある
私は退職後の高い社会保険料に驚いて免除制度の利用を考えましたが結局
- 健康保険は免除対象外だった
- 国民年金の免除よりイデコ加入⇒拠出金⇒減税の方がお得と判断して免除制度の利用は見送り
から一切免除なしの社会保険料を支払っていくことになりますが、イデコに加入⇒拠出して来年の確定申告で所得税の還付と住民税の減額を目指します。
各社会保険の手続きも場合によっては順序があり、それぞれの損得を比較検討したうえで手続きをしないと大損をしてしまう可能性もありますので注意が必要です。